ジョージアの歴史

ワイン発祥の地

ジョージアのワインに関連する歴史は、紀元前6,000年~5,000年の新石器時代まで遡ります。これまで国内で発掘された遺跡からは、その頃のワイン用の土器の破片や破片に残っていた酒石酸、ブドウの種子の化石等が発見されています。これらの出土品により、この時代にジョージアではブドウ栽培及びワイン造りが行われていた事が科学的に証明され、8,000年に及ぶ長いワイン造りの歴史がある事が明らかになりました。
ジョージア国立博物館には、紀元前6,000年頃のものと推測される土器が展示されており、これは世界最古のワイン用の容器でクヴェヴリの原型と推定されています。
また、ヴィティス・ヴィニフェラの原種とされる野生種のヴィティス・シルヴェストリス(Vitis silvestris)は、現在も国中で見かけられ、遺跡から発見された種子は栽培種のヴィティス・ヴィニフェラ・サティヴァ(Vitis viniifera sativa)と同じとされています。

ジョージア人が守り続けてきたワイン、宗教、言語

ジョージアは古くから多くの民族が行き交う東西交易の要衝だった事から、アラブやモンゴル、ペルシャ、トルコ等からの侵略や支配が絶えることがありませんでした。19世紀にロシア帝国の支配を経て1991年に独立、今日に至っています。

長い歴史において侵略や支配を受けてきたジョージアですが、ブドウ栽培とワイン造りは現在まで途切れることなく続けられてきました。ジョージアの戦士は、戦いで自分が倒されたとしても大地からブドウが生えるようにブドウの小枝をベルトにしたり、胸に入れて戦に向かったと言います。また、数多く残っている固有品種は、自家消費用ワインを造る為に家の庭で育てられ、侵略にさらされた時も人々はブドウの苗や木を持って逃げたと言われています。

ジョージア(グルジア)正教の象徴

ジョージアは327年にキリスト教を国教とし、世界で二番目にキリスト教国家となりました。キリスト教へ導いた聖女ニノは、ブドウの枝を自身の髪で縛った十字架を携えていたと言われ、その十字架はジョージア正教会のシンボルとなり「葡萄十字」と呼ばれています。キリスト教はブドウ栽培の発展に寄与し、ワインは日常生活だけでなく、宗教儀式においても重要な意味を持つようになりました。

ジョージア語におけるワインとブドウ

多くの言語学者は、ジョージア語でワインを意味する「Ghvino」(グヴィノ)が「Vino」「Vin」「Wine」に変化していったとしています。また、独特の形が印象的なジョージア文字は、ブドウの丸まったツルをモデルにしたとする説があり、2016年にはユネスコ無形文化遺産に登録されました。